福島県の猪苗代湖・中田浜(会津若松市)でモーターボートに接触し4人が死傷した事故から1年となった6日、亡くなった千葉県野田市の小学3年豊田瑛大君(当時8歳)の両親や親族ら計9人が現地を訪れ、湖に向かって手を合わせた。
両親らは同日午前、事故現場に近い中田浜の西岸に設置した机に、瑛大君の遺影や 位牌 などを置き、ヒマワリとお菓子を供えた後、黙とうした。
自身も事故で両脚を失った母親は、瑛大君に向けて書いた手紙を供えた。「いつかまた会える時が来ることを信じている。その時までもう少し待っていてねと伝えた」と涙を拭った。
父親は「1年前にここに来なければよかったと改めて思った。ボートを操縦していた人は名乗り出てほしい」と訴えた。
事故は、昨年9月6日午前11時頃に発生した。水上スポーツをするために湖面で順番を待っていた瑛大君と母親、兄、友人家族の男児がボートと接触した。
福島県警は業務上過失致死傷容疑で調べているが、捜査は難航している。
県警はこれまでに、レジャー客らの目撃情報などから現場付近を航行したとみられる複数のモーターボートを確認。所有者らに航路や当時の状況などを聴取した。ボート数台も押収して船体やスクリューなどを調べており、4人と接触したボートの特定を進めている。
ボートは4人と接触した後も航行を続けており、船体に血痕などがほとんど残っていないとみられる。湖で起きた事故は、事故現場やボートの航路などの立証も容易ではない。捜査関係者は「被疑者を立件するために様々な証拠を積み重ねている状況。もう少し時間がかかる」と話す。
猪苗代湖・中田浜(会津若松市)の事故を巡り、地元の安全団体が一般利用者向けに作製した湖の利用区域を図示したチラシが誤っていたことがわかった。水上レジャー禁止区域の現場付近に禁止マークがなかった。事故後に誤りが判明し、今年6月に修正された。
チラシは2010年、猪苗代湖水上遭難対策協議会が、県や郡山市、会津若松市、猪苗代町などでつくる猪苗代湖水面利活用基本計画推進協議会の各地域部会から提供された資料をまとめた。マリーナなどがある湖岸(浜)ごとの地図に、ボートや水上バイク、カヌー、遊泳などの利用区域が記載されている。
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